価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

捨てる仕事

中田と今の上司である課長の付き合いは結構長くもう5年になります。上司は以前脱サラして、自営業をした後に、当社に入社して管理職になるだけの人でしたから仕事の出来る人でした。

部署が立ち上げ直後でする事が多かったとはいえ、毎日遅くまで仕事されていました。仕事の面では頼りになる上司であったのですが、風邪気味でありながら深夜まで残業を続ける上司の姿を見て、体調不良で倒れてしまわないか心配になったくらいでした。

ただ課長もここの数年はかなり働き方が変わられました。深夜残業もほとんどされなくなったし、会社が最近定めた定時退社の日には率先して仕事を終えられるようになりました。

以前中田は部長への意見として、「課長が働き過ぎる。今のような働き方ではご自身の健康が心配だ」と挙げた事がありました。そのあたりの進言が課長の働き方に影響したのかなと思って、とある飲み会の際に聞いたのですが、課長の回答は異なりました。

「自分で何でも抱えていては、中田君をはじめとした部下の皆が育たないと思って、自分で何でもかんでもしようと思うのをやめたんだよ」。その言葉を聞いて中田は課長が自分の健康問題を危惧して働き過ぎを止めたのではなく、我々部下の成長を願って姿勢を変えたのだと初めて理解しました。

今中田がまかされている仕事も、まかせた当初は中田がすると60点程度の出来の仕事しか出来なかった筈です。自分がやれば100点に近い出来の仕事が出来るのに、見るのは歯痒かったと思いますが、それでも我慢いただいて仕事を任せていただいたからこそ今の中田があるわけです。

去年の評価面談の際に、中田君もようやく自分で問題を見つけて動けるようになったねと誉めていただきました。今までは課長の指示があって動く事が多かったとした中田としては非常に嬉しい思いししたと同時に、中田がここまで成長できたのは、課長が全ての仕事を自分でされようとするのをやめて、仕事を捨てる事をされたのがきっかけだと考えますと、中田がその立場になった時にもそのような姿勢で仕事がしたいと感じたものでした。