価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

仕事を辞めてはいけない時

4月になり新入社員の方が入ってくる時期となると会社においても人の異動が活発になります。先日もFaceBookで以前一緒に仕事をしていた人に連絡を取ったところ3月末に会社を辞めた事が分かりました。

今の会社で色々あった事は噂には聞いていましたが、次の会社が決まっているのかと確認したところ、まだ決まっていないということでした。その話を聞いて中田はあるお客様にしていただいた話しを思い出しました。

中田が営業をしていた頃のお客様に、元上場企業の副社長の奥様(未亡人)であった方がおられました。ご高齢という事もあり、それ程お取引はいただけない方ではありましたが、中田が同郷という事もあり何かと目をかけていただいたお客様でした。

亡くなった御主人が営業から叩き上げで努力された方ですので、奥様は営業の人間に対しても親切な方で、社会人なりたての中田に対しても営業マンとしてやっていい事、してはいけない事を色々教えてくださる方でした。

ある時奥様がされた話しにこのような話しがありました。まだご主人が現役バリバリの頃、とある車のセールスの方が飛び込みに来られたそうです。車は買う予定はなかったのですが、ご主人と奥様はセールスマンを邪険に扱わない方でしたので、その後もちょくちょく訪問をしてくる事があったそうです。

そんなある時、件のセールスマンが御主人に対して「今の仕事を辞めようと考えていると」洩したそうです。ご主人が理由を聞くと2ヶ月間車が一台も売れないからだと答えたそうです。

それに対して御主人は「車が売れないから仕事を止めては駄目だ。辞めるなら車を売ってからにしなさい」と応えられたそうです。「売れないから辞めると言った後ろ向きの気持ちで仕事を辞めてしまったら、君は負け犬のまま次の仕事を探すことになるが、そんな心理状況では次にもよい仕事が見つかるとは思えない。辞めるのなら、車が売れるようになってそれでも辞めてやると思った状態で辞めなさい」とアドバイスされたそうです。

その後その車のセールスマンは訪れる事がなかったそうですが、半年ほど経った後にまたひょっこりと表れたそうです。久々に話を聞きますと車のセールスを辞めて、故郷に帰る事にしたので挨拶に来ましたとのことだったそうです。ご主人がやっぱり辞めるのかと思ったそですが、続いて「先日のお言葉を胸に留めたお陰で、先月地区で5番目の成績を上げる事ができました。お言葉に従い車を売れるようになってから、仕事を辞める事にしましたので、まず第一に報告させていただきたいと思いました」と答えられたとのことだったそうです。

奥様はそれから20年近く経つが、ご主人が亡くなった後も年賀状を送付してくれると話されていました。中田も今の会社を辞めてようと思った事は何度かありましたが、この時奥様にお話しいただいた事を胸に留め、状況が悪くなったから辞めるのは格好が悪いと思った事が、辞表を押しとどめた理由の一つでありました。

最初に書いた知り合いがどのような心持で会社を辞めたのかは定かではありませんが、後の会社が決まっていない状態で辞めた事は気掛りです。状況が悪くなった辞めるのは当たり前すぎて得策ではありません。辞めるのなら状況が悪くない時に辞める、普通の感覚なら何故とかと思えるような判断ではありますが、上場企業の副社長の方の金言ですから従った方が得ではないかと中田は思います。