価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

個を動かす

先日近所のブックオフに行ったところこの本が安く売られていたので購入しました。春先に出た時も読もうと思った本に入っていたのですが、何故買わなかったかは思い出せません・・・

ローソンの新浪社長のインタビューを元にした本ですが、読んだ印象は新浪社長は日本に数少ないプロの経営者であると思いました。

日本におけるコンビニエンス業界でナンバーワンの企業はまぎれもなくセブンイレブンであり、その事実は動かし難い。ただその現実を前にして二番手企業としてどのように強みを発揮するか経営者の手腕であり、ローソンの採った様々な戦略もその視点で見てみるとあっさり理解出来ます。

全体でセブンイレブンに勝てないのであれば勝てそうな分野を見つける。セブンイレブンがコンビニの主力世代である20代~30代の男性をターゲットしたコンセプトの店を作るのであれば、ローソンは働く女性をターゲットにした「ナチュラルローソン」を作り、共働きの主婦を意識して店舗に野菜や果物といった青果を置くコーナーを作り、従来とは違うターゲットを対象とする。

利用金額に応じてキャッシュバックを付与し、一見するとリピーター獲得を目的とした「ポンタカード」も真の狙いは、レジで店員の判断で性別や年代を把握するセブンイレブンのPOSシステムよりより精緻な売上データを獲得する事が目的。

セブンイレブンが実質創業者である鈴木社長の強烈なカリスマによる中央集権型企業を目指すのであれば、ローソンは本社から地方に権限をどんどん委譲し、現場での発想力を期待する仕組みを構築する等、明らかにセブンを追いかけるのでなく、セブンの戦略を見つつも自分達の勝てる分野やセブンとは異なる手法を追い続けているのです。

以前読んだ「良い戦略・悪い戦略」の本における、よい戦略の基準である、一点集中、何をやる、何故やる、どうやるが明確な点を全てクリアしていますので見事なものだと思います。

ビジネスマンとしても大いに参考になる書であると同時に、上場企業であるローソンを経営されている以上ローソンの株価にも大いに注目すべきではないかと思いました。コンビニ業界がここから大きく成長するとは私も思っていませんが、日本からなくなるとは思えませんので・・・

「個を動かす」