価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

リバースイノベーション

先週こちらの本を読みました。
本の内容は新興国と先進国は経済がまるで違う。 10ドル使える人が一人いる国と、1ドル使える人が10人いる国とではニーズやウオンツがまるで違う事を示したものでした。

この本を読んで、先日ある経営コンサルタントの方の公演聞いた際に次のような事をお話しされたのを思い出しました。「ビジネスにおいて、人間関係構築での成功体験は繰り返し使用できるが、ビジネスの成功体験は早めに捨て去らなくてはいけない。これだけ世界が激変する中で、過去の成功体験に捉われる事は逆に脚を引っ張る事に繋がりかねない」

日本の電機メーカーが失敗した理由は高品質の商品を作れば売れる筈との信念を持ちすぎたせいだと言われています。戦後日本企業が躍進した理由は車を初めとした価格の割に高品質の商品を提案したことであり、購買力はあるが低品質の商品に不満を持っていたアメリカを初めとした消費者に評価されたことが日本企業躍進の秘密であったと思います。

その成功体験が強烈だからこそ、日本企業は品質の向上を目標としてきたのだとは思いますが、その品質向上も行きすぎてしまった感があると思います。今となっては、スマートフォンやパソコンも私のような素人にはどこがどう改善されたのか分からないような水準になってしまい、スマートフォンでもカメラの解像画素をあげる位なら、もっと持ちのいいバッテリーを使用して欲しいと言うのが正直な気持ちです。

この本で言いたい事は、途上国でビジネスを成功させるには品質よりもまずいくらの金額であればこの商品を買って貰えるか値段を先に設定して、その値段の範囲内で顧客の要求している水準を満たすにはどの機能が必要か考えるべきだとの、まずは価格ありきのビジネスを行うべきだとのことだと思います。

ただこの考えは特に新しい考えではありません。先日イトーヨーカ堂の創業者伊藤雅俊さんの著書を読みましたがそこにも「価格設定はお客様がいくらで買ってくれるかを考えよ。これだけのコストがかかったので、この値段にするとの設定は企業のエゴでしかない」との記述がありました。

まず途上国の人が買ってもらえる値段を考慮し、その値段で組み込むべき必要最低限の機能を、先進国でも使用したような高品質なもので組み込むべきだとの本書の主張も似たようなものと思えました。

今回の著書で語られている最新かと思われるビジネス戦略も元を正せば、昭和の名経営者が語っていたことであり、時代は違えど成功した経営者の理念や経営方針はやはり確固としたものがあったと感心させられます。私もこれまでは、ややもすると新刊の戦略書を追いがちな傾向がありましたが、今後は更に古典に近いと言われるビジネス本や経営書をもっとよく読むべきではないかとそんな感想を持ちました。