【書評】人間の達人本田宗一郎
先日こちらの本を読みました。
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本田宗一郎氏の過去の著書に書かれている事を触れながら、氏の考え方を振り返る本です。読んだ感想は、本田宗一郎氏は自分を平凡な人間だと思う謙虚な心を持つ一方で、自分のやりたいと思った事はどんなに従業員に無理をさせてでもやりとげようとする子供のような我儘な心を持つ二面性のある方だと思いました。
本の前半は従業員に慕われる社長としての一面、後半は仕事の鬼としての一面が書かれています。多分両方の面があったからこそ、死後20年以上経った今でも名経営者として評価される理由かと思いました。
歴史上の人物で言うなら、漢の創始者である「劉邦」に近いかと思えます。ただ劉邦と違うのは、奥様が余計な口出しをしない方であった点と、参謀である藤沢氏が引退を示唆した時に素直にそれに従った点ではないかと思います。
普通のワンマンオーナーであれば、自身の懐刀とはいえ副社長に引退を示唆された時に、抵抗する事や社長権限で排する事もしかねません。それらの忠告に従った事は、自分自身が平凡な人間に過ぎないとの思いを持っていたからであり、失敗を恐れない攻める経営者とは真逆の面を持っていた点こそ氏の魅力かと思いました。
この本に引用された本田氏の著書で一番印象に残ったのは、以下のセリフです「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」。
本田宗一郎氏はホンダを創業する1年前に、「人間休業」と称し1年間全く仕事をしなかった時期があったそうですが、その時に考えた理念が偉大な経営者を育てるのに役に立ったのであれば、働くばかりが能ではなく、休みを取る時は休みを取るのも間違いではないのかなと思わせた本です。
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