価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

【書評】無力(MURIKI)

先日こちらの本を読みました

無力(MURIKI)

この本のタイトルですが、「むりょく」ではなく「むりき」と読みます。80歳になった五木寛之さんの本ですが、先行きのはっきり見えなくなった現在においては、必要な考えと思いました。

「むりき」とは、物事に白黒をつけるのではなく、どちらにもつかず不安定さを肯定する事を意味しています。要は物事にはグレーゾーンがある事を理解し状況に応じてどちらの側にもつけれるような物の見方をする事が必要だとの考えです。

考えのブレナイ人は尊敬されがちな世の中ではありますが、ひとつの価値観で物事を正常だ異常だと仕分けする方が間違いであり、人間はむしろブレがあるのが当り前であり、時代の流れと共にブレル事こそ「生きる」事ではないかと述べられています。

日本は少子高齢化や経済成長の行き詰まり等、登山で言えば下山の時期に来ている。下山の時期にはひたすら上を目指した頃には気付かないものも見えてくる。そして登山とは下界まで無事降りて初めて成功と言える分けで、下山の時期にどう生きるかもこれからの日本人には問われているとも書かれています。

もともと中田はバランスワーカーとのブログで称していますように、多様な価値観を持つ考え方を持つ事は重要だと感じています。この本に書かれていたのですが例えば「死」にしても西欧の文化では「死」は負けの思想になっていますが、仏教の考えでは「死」は浄土に行ける事に繋がり、むしろ光に繋がる思想である訳です。

最近は特にアメリカ型の自由な資本主義経済が徐々に行き詰まりを見せている内容の本ばかりを読んできましたので、安部内閣が訴えかけている日本がかつてのような経済成長力を取り戻そうとする方針で突き進む事も正しいのかとの疑問を感じざるえません。

GDPが最盛期の1/10になろうとも、株価がかつての半分になろうとも幸せな生き方が出来る事を追求するには五木流の「MURIKI」の考え方は学ぶ価値のある価値感でないかと中田には思えます。

無力(MURIKI)