【書評】二宮金次郎の幸福論
ただ語り口調は二宮尊徳氏がこう語ったいという硬い口調ではなく、金次郎の爺さんはこんな事を言ってたけど、多分こんなことを考えていたのだと思うよといった程度の優しい印象を受けました。
本作は幸福論とのタイトルがついてますように、二宮尊徳の思考方法について書かれたものです
・「どうしようもないこと」を冷静に受け止めた上で前に進む方法を考えつこう
・人間は低きから高きに向かって生きる存在である
・実りは無限。貧しさは有限。
・自然は稲や作物といった嬉しいギフトだけでなく、雑草という厄介な課題も与える
・肉眼で見れば、猫がネズミを食うのであるが、心眼で見ればネズミが化して猫となる
・一旦事変にあったら、夕立にあった心持でじっくり構えてかかるがよい
・大きな田んぼと小さな田んぼが二つあった場合どちらから耕すべきであろう?間違いなく小さな田圃である
・寝る暇を惜しんでわらじを作り、わらじの切れた人にやれ。もらった人が礼を言わなくてももともと寝る暇に作ったのだからそれまでのこと。礼を言う人があればそれだけの徳。お金をくれる人があればそれだけの利益だ
・食えば一粒、撒けば万粒
・死んで仏になるとの考えは間違っている。生きているときに仏であるから死んで仏になるのだ
・熟しないものを心配するより、既に熟したものを取り入れる方がどれ程良いか?
書いているうちにデ-ルカ-ネギ-の名書「道は開ける」とほぼ同じような事が書かれていると思いました。
明日を憂うより今この瞬間に全力を尽くす。どうしようもないことは受け止める。まず小さな事から始める。良いことも裏を返せば悪い面もある。悪いことも裏を返せばよい面もある。
先の事は誰にもわからない。それなら今現実に出くわしている困りごとややるべきことに全力を尽くす。それがこの世で幸福に暮らす一番の方法だということを伝えたいのではないでしょうか?
そして農業は、一粒の米が何千倍にも帰る素晴らしい仕事であるが、その対価としてやるべきことも山ほどある。そう簡単に楽はできないから頑張りなさいと言われているような気がします。