価値探究の道

投資や競馬の世界で儲けを追求するに世間で思われている価値と実際の価値のギャップを見つけること。そんな思いで書かれたブログです

風立ちぬを見て

【ご連絡】来月9月以降のブログの更新は、月・水・金の週3回に変更させていただきます。(祝日が重なる時は前後の平日に更新タイミングをずらすようにいたします)。
個人的な事情により申し訳ありませんがよろしくお願いします。

書評とは少し違うのですが、先日こちらの映画を見てきました
見終わった後の印象を素直にいいますと、「綺麗にまとめてはいるけど、このスト-リ-で何を伝えたいのかまるで分からない」というのが印象でした。

中田はスタジオジブリの作品を「天空の城ラピュタ」の頃から皆勤賞ペ-スで見続けていました。昔のジブリの作品は結構明確に敵味方や何を伝えたいのかが分かる作品が多かったような気がしますが、今回の「風立ちぬ」は宮崎監督が好きなように作った作品を、観る方が考えないといけない作品になったいう印象を受けざるえません。

同じゼロ戦ものと括ると語弊があるかもしれませんが、この冬に映画化が予定されているベストセラ-小説「永遠の零」には分かりやすい程の、反戦の主張と軍部中枢への怒りが伝わってきます。

私も映画を見るまでは、憲法問題等で戦争はしてはいけない的な意見を述べた宮崎監督のことですから、少しは「反戦的」な要素が入っているかとは思ったのですが、「反戦的」な要素が書かれていたのは終わりのわずか数分程度。しかも主人公の夢の中のような設定で表現されていますので、伝わるものではありません。

また「反戦」ではなく、ヒロインとの恋物語がこの映画の趣旨との考えもあるかもしれませんが、結核持ちの新妻と結婚して置きながら妻を顧みず自分の仕事に没頭。

死期を悟った妻が再び病院に戻るのに映画上ではそれを知らずに、妻の死に目にも会わずにゼロ戦作成という仕事に邁進する姿は、かつての仕事一筋の企業戦士をイメ-ジさせるものであり、夢の中とはいえ妻にそのような姿勢を取った自分を許してもらえるという展開は、男の目線から見ても「単なる男の願望」を表現したものとしか思えず共感はできませんでした。

反戦物」でも「淡い恋物語」でもないと思われた本作品を宮崎監督が何を意図してこの作品を作成されたのかはよく分かりません。

うがった見方をすれば、ここ最近の作品ではマスコミを味方に付け、観る側が何を期待するか意識してきた宮崎監督が自分の好きなように作品を作りたいと思い始めたのかもしれません。

中田が宮崎監督の作品を初めて見たのは、「ルパン3世カリオストロの城」でした。テレビ版のルパン作品とは全く違った面白さになんでこんなに違うのだろうと思ったのですが、監督が違う点までには頭が至らず、その後に友人からの評判で「天空の城ラピュタ」を見た後に、この作品の監督があのルパン映画の監督だと知って納得がいったものです。

あのころの宮崎作品は正義と悪役がはっきりし、スト-リ-の流れも分かりやすかった思います。あれから30年近く経ち、宮崎監督自身が大衆受けをする単純な話を作りたくないと思い始めたのかもしれません。

古くからのジブリファンである中田には今後も宮崎監督の作品が見れたらよいなと思いつつも、そろそろ一時代が過ぎさろうとしているのかなと一抹の寂しさを感じざるえませんでした。